シッタカブリオーネ

虚言・妄言・支離滅裂

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“ギルガメッシュの日誌 3”

例の冒険者たちは、いささか興奮した面持ちで店内に入ってきた。

「やっぱすげぇよ、あのマーフィーさん…!」

「うん、アイツと戦いさえすれば、多分速攻強くなれるよ、きっと!」

「マーフィーさん最高!」

「マーフィーさんに乾杯!!」


どうやら彼らは迷宮内で、マーフィーズゴーストの出現場所を探り当てたようだ。
冒険初心者にとっては確かに、あの魔物は倒し甲斐がある。
非力なくせに経験値は高く、そして奴は底なしに出現してくる。

だが、しかし……。


―――


次に冒険者たちが店に顔を見せたとき、彼らの頭数はおよそ半数にまで減っていた。

おそらくマーフィーの回避率の高さ、1Fにしては脅威の打たれ強さ、そして自分たちの慢心にしてやられたのだろう。

「5750G……」

「5750Gは何処だ……」

「ごせんななひゃくゴールドォォォっ……!」

彼らの全装備を見積もっても、精々800G。
仲間を蘇生させるために必要な資金であろう、5750Gには遠く及ばない。

血走った眼と馬小屋のにおいが、あたかも彼らをこそ魔物のように見させて、
いっそ哀れだ。

「お前か、お前が5750Gかぁぁぁ!」

わ、私に触れるな!この汚らしい亡者共めがッ!

あ、バカ、ほんとやめろって!
私は偉大なる語り手、って話を聞けッ!
私の財布に手を触れるな、このボケ!!
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  1. 2007/07/31(火) 02:59:18|
  2. リルガミン
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“ギルガメッシュ日誌 2”

次の日、再びやってきた例の冒険者たちの顔からは、早くも疲労と絶望が見て取られた。
おおかた、仲間の誰かがカント寺院に預けられでもしたのだろう。
安置、と言った方が適切かもしれないが。

彼らはテーブルに座ると、何も注文することなく、何も語り合うことなく、ただ重々しい空気を店内の一角に漂わせ続けた。

そしてやがて、リーダー格と思われる戦士がおもむろに口を開いた。


「腹、へったなぁ…」

わずかな沈黙の後、魔術師が諭すように言った。

「……仕方ないじゃない。蘇生にはお金かかるんだから」

彼女の対面に座る、やつれ気味の戦士が軽く舌打ちをした。

「何よ、文句があるなら言いなさい」

「じゃあ言わせてもらうけど、あいつらのために俺が飢えるのなんてごめんだね」

「そうそう、勝手に死んだ奴が悪い」

「自分だって死にかけてたくせに」

「でもさ、ここまでしてあいつら生き返らせる意味とか、あるのかな」

盗賊の一言に先ほどの魔術師は食ってかかる。

「何言ってんの?仲間でしょう」

「だけどあいつら、たかがLv.3じゃん。そのために苦労するなら、いっそ新しい仲間を探した方が」

「なにさ、盗賊風情がッ。あんたなんて探索回数0の補欠じゃない。あんたこそ、解雇したっていいんだからね」

「おいおい、今僕をクビにしたって何にも解決しないだろ?」

「いや…、新しい仲間は金持ってるからな……」

「あ、あ、それ言っちゃダメ!」

「ほら!やっぱりヘタレ盗賊なんかクビにするべきなのよ!」

「ぼ、僕らは仲間じゃないですか!」

「うるさい、このハゲ!」

「僕はハゲてない!」

にわか雨のように罵倒し合う彼らだった。
そして再び、リーダー格の戦士が口を開く。

「腹、へったなぁ……」

彼らは黙り込み、やがて頷き合うとそのまま店を出ていった。


彼らがいかなる解決策を導いたのか、私にはわからない。

しかしきっと、彼らはその方策を迷宮に求め、再び潜りにいったのだろう。

なぜなら彼らは結局、バカで愚かな冒険者だからだ。

迷宮以外から答えを求められようはずがない。

そして彼らは、おそらく気づかない。

彼らに降りかかる問題は、そもそも、迷宮からしか湧かないという現実に。


あるいは気づいているのだろうか。

私には、わからない。
  1. 2007/07/30(月) 05:00:39|
  2. リルガミン
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“ギルガメッシュ日誌”

狂王トレボーがアミュレット奪還の召集を出して、早幾年。
私の職場であるギルガメッシュの酒場には、時代遅れの野心を抱いた新たな冒険者たちが訪れ、そして去っていく。
呪われているのかもしれない、と店主はときどき口にするが、そんな無謀な彼らによって生活を成り立たせる我々も、悪魔の業の一端を担っているに違いない。

酒場のドアが開いた。
何一つ冒険者らしいものを身に付けていないその風貌から察するに、また、新たな犠牲者がここにやってきたようだ。

しかし……、なんだアレは。
あまりに酷い、弱々しそうな連中だ。
具体的に言えば、ボーナスポイントが5~10しか得られなかったとしか思えない、虚弱そうな風貌…。
おおっと、メタフィクション。


しばらくすると、彼らの仲間と覚しき連中が、早くもボロボロになった鎧を纏い、やってきた。
戦後報告らしい。
私は彼らの会話に耳を傾けた。
「無理ッ、リルガミン無理!」
「梯子の前から一歩も動けなかったね、怖くて」
「もぅ田舎に帰るべよ、迷宮なんて僕らには向いてねえんだから」

「つか…、あの…、アタシ死にそうなんだけど……。HPで言えば2くらい」
「骸骨がねぇ、強かったよね」
「いや…、いいから…、回復させこのボケ」
「もう魔法は尽きてるから」
「馬小屋さ行け!馬小屋さッ」
「なに?受胎告知ごっこ?」
「永眠させたろか?」



この近年稀に見るヘタレ集団を目の当たりにし、私は確信して、ため息をついた。

ああ…、駄目だわ、コイツら。
  1. 2007/07/29(日) 03:38:00|
  2. リルガミン
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