シッタカブリオーネ

虚言・妄言・支離滅裂

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【隔たりたらたら】

鬼束ちひろの新しいアルバムを買ってみた。が、あまり良いと感じなかった。
高校生の頃の自分だったら良いと感じただろうか、当時メチャクチャ好きだったもんなぁ。

嫌いまではいかないものの、もう好きではなくなってしまった。
懐かしい自分を遠くに感じ、まるでその自分に現在の僕が違和感を持たれているような。
別に悲しくはないけれど、なんだろうか、この感覚。

そういえば、来月友人たちと鍋をしたいと思い、各人と連絡をとった。
その中には昔ずっと好きだった子も含まれていて、今はただの友人なわけだが(もっとも向こうからすれば“今も昔も”だ)、彼女と久しぶりに電話で話したときも、同じような気持ちに陥った。

なんとまあ、思えば遠くへ来たものだ
って感じだろうか。
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  1. 2007/10/31(水) 02:19:19|
  2. 日常
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《13.さらら》

ペットショップの前で、一匹ずつ子犬に名前を付けた。
今日は日曜日。
空が忌々しいくらい晴れ渡っている。
家族連れや、恋人同士とおぼしき男女とすれ違うたびに、軽く呪詛を吐く。
けれど今日はなんだか心も晴れやかだ。
公園までの道をキチガイのようにふらふらと歩く。
行き交う車の騒音も幻想へ誘う音楽みたい。
轢かれてしまおうか!
きっとそれさえ心地よい、吹き飛ばされるイメージの自分が風のように舞う。
横断歩道、白だけ踏んで、誰にも気づかれない至福のステップ。
弱り切った街路樹も堂々と絶望している。
代わりに叫んで、思い切り泣いてやろうか!
さ、あ、ら、さ、ら。

公園の中は騒がしい木漏れ日でいっぱい。
子供たちの叫び声、利己的な笑い声。
なんて気持ちの良い不快感。
そうだ、今日は日曜日なんだ。
犬たちも散歩している。
その可愛らしさ!
ああ、キミたちこそ生きるのに相応しい。
おめでとう、ありがとう!
生まれてきて。
さようなら、さようなら!
生まれてきて。
靴ひものほどけたまま快活に歩く老人。
古く死にかけた体内は、きっと廃工場のように美しい。
なぜだろう、あくびが漏れる。
それだから、涙が出る。
ベンチの脇に看板がある。
近隣住民の願いです、野良猫たちが飢えて死ぬ様をどうか見過ごしてください。
そんな意味の言葉が目に入る。
近隣住人は、きっと神から、この周辺の生き物を統括するよう承ったのだ。
気にすることはないさ。
生き物は飢えずとも死ねるのだから。
それにしても見事な晴天じゃないか。
木陰が私の影を包む。
私の影は、私よりずっと愛されている。
だから私は木陰への愛を断ち切らなければならない。
それがルールだ!
さ、あ、さ、ららら。

明日は雨が降るだろう。
さもなければ明後日。
あるいは雨の降る場所が私だろう。
そうやって今までも生きてきた。
明日も、明後日も、きっと私は生きるだろう。
なんて気怠い。

子犬の名前はすっかり忘れた。
私よりずっと立派な名前だったのに。
それもしかし、日曜の公園というものの定めだ。
すべては重力に従い、みんな太陽にひれ伏す。
おまけの虚無感だ!
暖かな虚脱感、こっそり逝った細胞たちの覚めやらぬ宴!
ぐるぐると感覚がかき混ぜられる、眩暈がする。
さらら、さらさら、ららら、さら。
  1. 2007/10/29(月) 03:51:40|
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《12.自生》

裏庭の隅の、朽ちかけた杉の根本に、左手がひっそりと生えているのを見つけた。
肉付きの良い小さな手で、赤ん坊のそれと大体同じ大きさだった。
初めて見たときは大層驚いたが、手のひらに指で触れてみるとしっかりと握って見せたので、ああ、生きているのだと私は安心した。
柔らかな手に触れていると、だんだんそれが可愛らしいもののように思えてきて、私は妻を呼んで彼女にも見てもらいたくなった。
けれど妻は最近少し精神が不安定であり、そして彼女は元々植物も子供もあまり好まない。
この手がいったい何であれ、きっと彼女には見せぬ方が良いだろう。
共有できない愛おしさに寂しさを感じたが、それでもいっそう手は可愛らしかったので、私はできる限り世話をすることに決めた。
それがちょうど五ヶ月前の、六月のはじめの頃だった。

私はそれから毎日水をくれてやり、虫にたかられていれば払ってやった。
雨が降った翌日などに泥に汚れていれば拭いてやり、あんまり爪が伸びたら切ってやったりした。
手はすくすくと成長を続け、夏が終わる頃には、人間で言えば肘くらいのあたりまで腕が伸びた。
一度何かがぶつかったのか、親指の付け根あたりから血が出ていたことがあった。
怪我はすぐに癒えたが、心配になり、私は家の中から調度良い具合の箱を持ってきて、それを手の上から被せた。
これで安心だろうと思っていたが、しかし二、三日もすると手は見る見る元気をなくしていってしまった。
それで、どうやらこの子は日光に当てる必要があるらしいとわかった。

それからもうしばらくして、私は再び驚いた。
手の隣に今度は右手が生えてきていたからだ。
もしかするとこれはシダ植物の類なのかもしれない。
あるいはタチの悪い、私自身の幻覚か。
思い切って私は知り合いの教授に相談してみることにした。
彼は笑顔で私の訪問を迎えてくれたが、どうも内心迷惑がっているらしいことが彼の表情から伺えた。
申し訳なく思いつつ、事の次第を簡潔に話してみると彼は唸りながら天井を見上げた。
「やはり、こんなこと、ありえないだろうね」
「いや、ありえなくはないとも。それに現に生えているのだろう?」
私は頷いた。
それから彼はわけの分からない言葉を延々と話し続けた。
彼はいつもこうやって遠回しの罵詈雑言を私に浴びせる。
でも彼が善人であることはわかっているので、私は黙って話を聞き、礼を言って彼の部屋を出た。
彼の話で理解できたことのうち、重要なのは、庭に手が自生することもありえないことではないという、私にとって分かり切ったことだけだ。
しかしそれでも、私は安堵した。
あれはあっていけないものではないと確認できたのだから。
家に帰った私は真っ先に件の両手のもとへ行き、軽く指をつかんでみた。
すると両手はどちらも同じように握り返してくれた。
私は腹の底から暖かさが沸いてくるのを感じた。

そしてひとつき前のこと。
私がいつものように両手に水をあげに行くと、両手のちょうど真ん中の土がこんもりと膨らんでいることに気づいた。
ああ、いよいよ頭が生えてくるのだと私にはわかった。
頭がいつか生えるだろう事は、ずっと以前から予想できていた。
思い至った当初は、それはとても恐ろしいことだ感じていたが、それが自然なのだから生えるのは仕方ない。
その頃にはむしろ多少なりとも楽しみでさえあったので、私は土の膨れたその部分にも優しく水をかけてやった。
頭は毎日ゆっくりと伸び、一週間ほどしてようやく顔のすべてが土の上に出た。
それはまるで生まれたての赤子そのものの顔で、目は閉じられたまま皮膚もふやけているように見えた。
口はときどきモゴモゴと動きを見せたが、決して音を発さず、どれほど泣きそうな表情でも全く泣かないので、これは赤子に似ているが同じではないのだと理解させられた。

そうして顔もだんだんと成長していった。
ふやけたような皮膚も次第にふっくらとして、不思議と表情を豊かにしていった。
けれど今もなお瞼は開かれない。
しかし瞼の奥にコロコロと何かが動いているのは見て取れる。
それはもしかしたら瞳かもしれないし、あるいは種が詰まっているのかもしれない。
それを無理矢理に開いてみる勇気は、今の私にはない。
きっと幼少の頃の私なら、すぐにそうしただろうけれど。
私はしゃがみ込み、ゆっくりとそれの頬に触れた。
とても柔らかい、しかしとても冷たい頬。
あの子と同じだ。
あの子の頬も、同じように冷たかった。
そういえば、これの顔は、どこかあの子に似ているような気がする。
そして私とも、妻とも似ているように思える。
妻に教えてあげたら、喜んでくれるだろうか。
もう一度私と、今度はこれを大切にしてくれるだろうか。
振り向いて、私は家の方を見た。
いや、よそう。
もう彼女はすっかり狂ってしまったのだ。
彼女は、可哀想な人だ。
これ以上何かを与えようとしても、それが何であれ、そのことによって彼女は苦しむ。
妻は壊れてしまったのだ。
もう、どうしようもないのだ。

私は顔に向き直り、頬に触れたままの指を動かし、くすぐってみた。
顔は音もなくケラケラと笑った。
あの子も確かこんなふうに笑っていた。
そう思ったけれど、実際のところ、私はもうあの子の笑顔を鮮明に思い出すことができなかった。
  1. 2007/10/28(日) 04:14:32|
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“恥”

生きること自体は当然恥ずかしいことではないのだろう。
みんな立派だ。
でも僕には恥ずかしくないような生き方ができない。
だから早めに切り上げたい。


・どうせ短い命、できる限り美しい心でいよう
美しい心ってどんなだ?
  1. 2007/10/28(日) 02:55:39|
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《11.普通破裂》

「そんでさ、クリスマスプレゼントとかもトイレの前に置いてあったりしてさ。まったく、頭がおかしいわけ、うちのサンタは」
「あはは。いいなぁ、そういうの」
「全然。何が良いわけ?」
「うちはさあ、もうほんとに、何の笑い話にもなんない平凡な家だし。ほら、俺自身も退屈なくらい平凡だろ?」
「んー。でも在り来たりに言えば、普通が一番じゃない」
「普通すぎるんだよね、マジで」
僕は深くため息を吐いた。
本当に、どうしてこんなにも普通で平凡で退屈な境遇に生まれてしまったのだろう。
いつも思う。
もう少しヘンテコで、もう少しスパイスのある日常が僕にだってあってもよかったんじゃないかと。
やがて友人と別れる道まで差し掛かり、いつも通り僕はテキトーに手を振って別れを告げた。
「あ、でもさ」
そのとき、友人が急に可笑しそうな声で言った。
「もしかしたら、アンタが知らないだけで、アンタんちだって普通じゃないのかもしれないよ」
「はあ?」
「あまりにもありふれた家庭に感じるのは、本当のことを隠そうとした結果なのかも」
しばらく僕は友人の言うとおりの世界を妄想してみて、それから首をゆっくりと横に振った。
「アホらし」
「でも、否定はできないでしょ」
「あーあ。じゃ、また明日」
「うん、また明日」
可能性で言えば確かにないとは言えないけれど、うちに限って言えばあり得ないと断言できる。
根拠はないが、それを提示する必要がないくらい、そんなことはわかりきっている。
家に帰れば母が夕飯の支度をしていて、やがて兄と父も帰宅。
くだらないテレビ番組で間を持たせながら夕食を摂って、たいした会話もなく各々自室に帰還。
そして次の日を迎えて、ずっとそれを繰り返して、いつか僕は家を出るだろうけど、家ではきっとその後も同じような繰り返しを続けていく。
何十年先だって見渡せるくらい平坦なのだ、僕の家は。
それが悪いだなんて全く思わない。
でも、面白味に欠けていることは確かなんだ。
健全な一高校生の僕にとって、不健全なくらい健全な家庭。
不幸ではないけれど、僕は少し不運ではないかとときどき考えてしまう。
僕はまた、ため息を吐いた。

曲がり角を曲がると、うちの前に青いスポーツカーが止まっているのが見えた。
おそらく隣の家の知り合いのものだろう。
隣には駐車場がないから、ときどきこんなふうに、うちの前に止められる。
僕は気にせずに玄関のドアを開けた。
「ただいま」
返事はなかった。
ただ、奥の、たぶん寝室の方から物音は聞こえるから、一応いるのだろう。
僕はそのままリビングに入り、ソファに腰掛けてテレビの電源を入れた。
今の時間帯はどうせつまらないニュースしかやっていないけれど、自室へ行くために階段を上るのが億劫だ。
夕飯まで、だらだらしていようと思った。

テレビでは、どの局も今まさに起こっているらしい犯人の立てこもり事件を報道していた。
僕はケータイをいじりながら、ぼんやりとそれを聞く。
事件はどうも、うちの県のK市で起こっているようだ。
現場である何とかという建物を僕は知らないけれど、K市の高校に通う兄なら知っているかもしれない。
場合によっては、今、現場にいるかもしれない。
あの人、結構野次馬だから。
そんなことを考えていると、テレビから意外な声が聞こえた。
「高林ぃー!出て来ーいッ」
犯人の友人とやらが説得を試みているらしい。
見たところ、その友人氏の着ている服は兄と同じ高校のものであり、ついでに、うちは、高林だ。
「トムー!お願いだ、頼むッ、人質を放してやれー!」
こんなのをテレビで放送して良いのだろうか、そして彼らは映されていることを知っていて、そんな恥ずかしいあだ名を叫んでいるのだろうか。
いやいや、そうじゃなくて、肝心なことはうちの兄、高林勤のあだ名が奇遇にもトムだということだ。
奇遇?
いや、でも、だって。
そのとき突然レポータが叫んだ。
「今!犯人が窓から顔を出し!何か叫んでいます!」
テレビに映されたのは、紛れもなく、うちの兄だった。
僕は咄嗟にテレビの電源を落とした。
「あ、帰ってたんだ」
振り返ると母が見慣れない黒い服を着た姿で立っていた。
「母さん。母さん、あの」
僕はテレビをつけるべきか否か、迷った。
「兄さんが、その」
「ごめんね、母さん時間がないんだ。ちょっと用事があって」
そう言うと母は、何故か悲しそうに首を横に振った。
「ああ、もう母さんだなんて名乗る資格、ないんだな」
「は、何言ってんの?」
「理解できないだろうけど、お願いだから聞いて。私ね、今まで黙ってたけど、ある大きな組織の幹部なんだ」
「はあ?」
「冗談じゃなくて。それで、まあ簡単に言えば、抗争で、行かなければならなくなったのよ」
「母さん?」
「もう、ここには帰ってこれない。ごめんね。でも今まで、私、とても幸せだった。それだけは、知っておいて。忘れてもいいから」
母の言葉の真偽はともかく、涙を流しながら微笑もうとするその顔は、とてもつらく悲しそうに見えた。
「じゃあ、ね」
「母さん!」
僕は大きな声でその名を呼んだけれど、彼女は振り返ることなく去っていった。
玄関の方から音がして、やがて車が走り去っていくのが聞こえた。
僕は、追いかけることもせず、さっきまで母の立っていた場所をしばらく眺めていた。

いったい何の冗談だろう。
まったくわけがわからない。
ようやく姿勢を元に戻して、僕はテレビのリモコンを見つめた。
電源をつければまだ兄が報道されているに違いない。
それとも、もう捕まってしまっただろうか。
僕は立ち上がり、母の寝室を見てみることにした。
暗い廊下に出て、いやに静かなこの空間に少し恐ろしさを感じた。
急ぎ足で寝室のドアの前まで行く。
けれどドアの前で、僕は再び固まった。
ここを開けたら、テレビをつけるのと同じように、もう取り返しが付かないことだと理解してしまうのではないか。
でも、事実、取り返しが付かないのなら、開けたって開けなくたって同じことだ。
開けたいか、知りたいか、僕は。
そのとき、中で物音がした。
僕は思わずドアを開けていた。
サイドテーブルの明かりだけが照らす室内、ベッドの下に、父がうつ伏せに眠っていた。
違う、倒れているのだ。
「父さん!」
僕は父に駆け寄った。
体を揺すってみる。
手のひらに当たる父の感触が、心なしか堅い。
揺すっても、揺すっても、何の反応もない。
「父さん……、父さん!」
「ついに、見つかってしまったな」
驚いて振り返ると、ドアの脇に父と同じ姿をした男が立っていた。
僕は、倒れている父とその男とを見比べた。
「安心しなさい。それはキミの父ではない。まあ、死んでしまってはいるが」
「誰……?」
「キミがそれを父と呼ぶなら、私もキミの父だ」
男は父と同じ顔で、ばつが悪そうに口の端を上げた。
「どういうこと」
「キミの父、高林昌明は、人間ではないのだよ」
僕は首を横に振った。
「ある研究施設で開発された、わかりやすく言えば、菌類だ。この、私のような体を一つの単位として、増殖する」
「なんだよ、それ」
「高林昌明は、正確に言えばプロジェクトの名前だ。我々がキミらと関わることで、どういった影響がもたらされるか、それが研究されていた」
「じ、じゃあ、僕も菌類なの」
「いや、キミは人間だ。元々施設にいたのを養子として預かった」
「母さんは」
「彼女はただの協力者。我々も、その代償として彼女に協力した。もう、行ってしまったがね」
僕は、この場から立ち去ることにした。
もう何も聞きたくなかった。
男はドアの前に立ちふさがったけれど、「どいて」と言ったらすんなり引き下がってくれた。
暗い廊下を歩きながら、僕は何とか、今までの普通を思い出そうとした。
でも、どんなだったろう。
あまりにも普通で、平凡で退屈な我が家は、いったいどんなだったろう。
鮮明な記憶さえ残さないほど、穏やかだったんだ。
たしか、たぶん、そうだった。

暗い自室に入った。
いつもと何も変わらない、散らかった僕の部屋。
僕は椅子に座り、机に突っ伏した。
遠くに、パトカーのサイレンが聞こえる。
家の前の道を笑い声が通り過ぎる。
あとはもう、静まり返る。
うち以外にとって、僕以外にとっては、今も昨日と変わりのない平穏な時なのだろう。
僕は明日、どうすれば良いのだろう。
全然わからない、わかりたくない。
「おい」
声がした。
顔の下から。
聞いたことのない声だった。
「おい」
「誰?」
「机だよ、机」
「机が喋るなバカ」
「そういう口の聞き方は、お前の品位を下げるだけだぞ」
机はおどけるように言った。
「まあいい。あのな、俺、今までお前の机としてやってきたけどな、それもどうやら今日までだ」
机までがわけの分からないことを言い始める。
「お迎えが来た机はな、天に還らなきゃなんないんだ」
「ふざけんな」
「あ?」
「ふざけんなバカ!机が喋んな!物理法則に従え!常識をわきまえろ!バカ!」
僕は叫んだ。
父に聞こえただろうかと思い、もはや必要のない恥じらいを感じる自分を、腹立たしく思いながら。
「守ってきたさ、今まで」
机は諭すような声で言った。
「お前のために、常識的にやってきた。でも同時に、それが真実ではないとわかるようなヒントも出してきた。お前に気づいてほしかったからな。でもお前は、いつまでも常識に甘んじ、それ以上何も知ろうとしなかった。それは悪いことじゃない。それは普通のことだ。俺は責めない。けれど、真実は変えられない」
じゃあ、今までありがとよ、と声が聞こえると、一瞬で、あっさりと机は消え去ってしまった。
僕は呆然と椅子に座ったまま、ゆっくりと目を落とした。
左手が目に付いた。
左手は「気にするなよ」と慰めてくれた。
お前まで喋るのかよ、と僕が言うと左手は笑って否定した。
「ただの幻聴だよ。左手が、喋るわけがない」
  1. 2007/10/27(土) 02:17:28|
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《10.とある夜》

夜中に散歩するのは楽しい、と彼女が言っていた。
彼女がそう言うのだから、きっとそうなのだろう、なんて純粋に思い込めるほど自分は清らかではない。
それでもわざわざこんな時間に外を出歩いているのは、彼女と話を合わせるための言わばネタ作り。
今日の学園祭のおかげで折角お近づきになれたのだ、ここで努力しない手はないだろう、と自分を励ます。
こういう地道な努力が何事にも発揮できるのなら、多分再来週の中間テストだって泣きを見ることはないんだろうけど、ほら、人間誰しも得手不得手はあるし、何より時間は有限だ。
ある時間内にできることは、決して無限ではない。
ああ、人間って、何とも無情だよなあ、と思いながら僕は歩く。

しばらく歩いて、ふと立ち止まった。
ついいつもの習慣で学校に向かう道を歩いてはいるけど、さて、どこまで歩こう。
今すぐ振り返って元来た道を戻ったって良いけど、これじゃ話のネタにもならない。
そこで、ああ、夜の学校と思いついた。
それなら他愛のない話の一つでもできそうだ。
うん、あわよくば「今度一緒に夜中学校を見に行かない?」なんて誘ったりしちゃったりして。
なんて。
まあそんなのは無理だろうけど、とりあえず目標がないことには仕方ないし、学校まで行って、そしてさっさと帰ろう。
十月とは言え、少し寒いし。
そんなわけで僕は学校に向かって歩き続けた。
毎日見慣れた景色だけれど、人が一人もいない。
僕しかいない。
本当は、僕の知らないうちに、世界は滅亡したんじゃないか、なんて発想が自然に浮かんでくる。
もしかしたら、彼女もこんな感覚を楽しんでいるのかもしれない、なんて思う。
僕はなるべく静かに歩いたけど、それでも足音は、夜を不純にする音だと感じた。

学校が近づいてくると、違和感に気づいた。
周りには何もないというのに、不自然な明るさがそこにあったからだ。
もしかしたら、教師たちが学校祭の打ち上げをしているのかもしれない。
あるいは、ガラの悪い先輩が。
けれど、それにしては静かだった。
僕は良く言えば繊細、悪く言えば臆病だから、いつもだったらそこであっさりと引き返しただろう。
何にせよ、正体不明なものと関わってプラスであるはずがない、ということくらいわかっているし。
しかし僕は歩き続けた。
その上、その明かりの正体を知りたいとまで思っていた。
なぜなら、まあ、言わずもがな、彼女に話すネタがほしいからだ。
明かりは校庭の方に灯っている、とわかった頃にはもうそれの正体には気づいていた。
たぶん何かが燃やされているのだ。
しかし誰が、何を、何故という点がまだわからない。
僕は校門をくぐり、さらに歩き続けた。

そこにいたのは、一人の制服を着た男子だった。
後ろ姿を遠目で確認しつつ、僕は彼に近づいた。
「何をしてるの?」
彼は一瞬ビクリとしながら、僕の方を見た。
眼鏡をつけたほとんど坊主頭の、ひ弱そうな人に見えた。
「誰?」
「二年の石倉。キミは?」
「三年の不破だけど」
先輩ということは、一応敬語にした方がよいだろうかと思ったけれど、何となくこの人にはその必要はないと感じた。
まあ、時間も時間だし、学校の規定外ということで。
「それで、何してるの?」
「あ、後片付けだよ」
そう答えながら彼は火の中に、段ボールで作られた何かだったものを投げた。
「勝手にそんなことして、怒られない?」
「僕は生徒会だし、それにこの装置もみんな自分で作ったものだ。怒りそうな人間なんて、僕くらいしかいない」
「じゃ、明日、みんなの前で怒るんだ。被害者ぶって」
僕が茶化すように言うと、彼は初めて笑って見せた。
あるいは、口元を歪ませたという方が正確だろうか。
「まさか。僕は何一つ文句を言わないさ。そうすれば、誰も何も言えなくなる」
変な奴だと思った。
頭がおかしいのかもしれない。
けれど困ったことに、僕はこういう人間が嫌いではない。
「何でこんなことしてるの?」
「楽しいからさ」
「楽しい?」
「もともと、こんなもの、壊すために作ったんだ。頑張って作った。壊すのが惜しくなるくらい」
「馬鹿らし」
僕は呟いた。
彼は、いっそう楽しそうに段ボールを燃やし続けた。
「人のものを壊すと怒られる。でもこれは僕のだ。だから誰にも何も言われない」
言い訳染みていると感じた。
不純だと感じた。
僕がここにいるせいで、彼の狂気が不純になったのだろうか。
わからないけれど、僕は不純なものは好きじゃない。
僕自身がそうだから。
「ねえ、不破さん」
僕は初めて彼の名を呼んだ。
彼は手を止めて僕の言葉を待っていた。
それが不純なんだよ。
僕は笑っている内心を感じた。
「きっと不破さんは、いつか自殺するんだろうね。そのときはさあ、僕に教えてくれないかな」
約束だよ、と付け加えて僕はその場を後にした。
こんなの、とても彼女に話せるものではないな、と思いながら。

夜はとても静かだ。
一人っきりの真っ暗闇。
何秒だろうが何分だろうが、過去の一切合財をまるでなかったかのように、静かに見えなくしてしまう。
そんな力があるかもしれない。
そんなことを思いながら僕は歩き続ける。
彼女にも、見えなくしたい過去があるんだろうか、なんて考える。
うーん、素晴らしいな。
夜には見たいもの以外、何も見えやしないのだ。
  1. 2007/10/25(木) 04:13:23|
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《9.崩壊》

三年振りの故郷は特に何が変わったということもなく、あるいは村全体がただただ穏やかに死を迎えていくような、緩やかに微笑む老人みたいだと感じた。
駅の近くの自販機でコーラを買ったら、応募期間がとうに過ぎたキャンペーンのシールが貼られていた。
ここではそれが普通だったんだっけ、と僕は懐かしく思いながら、実家に向かって一人で歩いた。
歩道と車道を区切る、消えかけた白線。
車なんてほとんど通らないから、ここで生活する分にはあまり意味がない。
きっと、この白線は子供たちに外の常識を教えるためのものだった。
ここを出ていっても、ちゃんと生活できるように。
僕らは、ここを出ていけるように育てられていたのだな、と今になってわかる。
もはや僕は、拒絶されるだけの部外者にきちんとなれたのだな。
ここのおかげで。

背後から車の音が近づいてきたので、僕は歩道に寄った。
あまりこの村にそぐわない、低いエンジン音だったので、何となく振り向いてみた。
それは黒い小さなオープンカーで、僕をゆっくりと追い越していった。
しかしその車は僕の20mほど先で何故か止まった。
そして運転席にいた誰かが立ち上がり、こちらに向かって大きく手を振った。
僕は10mほど近づいて、ようやくその人物が旧友のSであることに気づいた。
「久しぶり。なに、こんな時期に里帰り?」
「うん。仕事が一区切りついて、さ」
Sは実家まで乗せていってやると言い、助手席のドアを開けてくれた。
僕はゆっくり一人で歩きたいとも思っていたけれど、断るのも悪いと思い彼の車に乗り込んだ。
「どうしたの、この車。自分で買ったの?」
「まあ、盗んだわけじゃあないよ」
僕はつい笑ってしまった。
というのもSは昔、万引き常習犯として校内で問題になっていたからだ。
「しっかし、俺はとてもラッキィだなあ」
彼は上機嫌に言った。
「どうかしたの?」
「いや、ちょうどお前んちに用事があったからさ。どうしたもんかと悩んでたんだけど、うん、なんとかなりそうだ」
「うちに?何の用?」
「いや、仕事でね。あ、そうそう。お前今、何やってんの?」
彼が話題を逸らしたので、僕も気にしないようにして見せた。
もしかしたら、Sはセールスか何かをするつもりなのだろうか。
シャツとジーパンというラフな格好だから、そうではないだろうけれど、もしそうならきっと嫌な気持ちになることになる。
僕は居心地の悪い思いをしながら、そのままSと談笑を続けた。
彼はあまり変わっていないようで、僕はやはりこいつが好きになれないと思った。

やがて僕の実家に着いた。
車を降りる寸前に、Sは照れたように言った。
「そうそう、ちょっとお前にも迷惑をかけるかもしれないけど、まあ、昔の馴染みとして多少大目に見てくれ」
僕は曖昧にうなずいて車を降り、玄関まで歩き、ドアを開けた。
「ただいまぁ」
その瞬間、僕の右側にいたSの左腕が、僕の左肩に乗せられた。
戸惑いつつ、Sの方を見ようとしたが、それよりも速く今度はSの右腕が僕に近づけられた。
その手には、とても軽そうなナイフが握られていた。
「ごめんくださーい」
Sが愛想の良さそうな声で叫んだ。
廊下の奥から、母が出てきた。
僕と、Sと、ナイフに驚いているようだった。
「いやぁ、息子さんと偶然出会しちゃいましてね、折角なんで乗せてきてあげたんですよ、ボクの車に」
母は廊下にへたり込んだ。
震える唇が、僕の名を呼ぼうとしているように見えた。
間もなく、階段を駆け下りてくる音がした後、父が姿を現した。
「こんにちは、ご主人。ああ、こうして見るとやはり親子ですね。驚いた顔がそっくりだ」
耳のすぐそばで、Sの愉快そうな笑い声。
「息子から離れてくれ。その子は関係ない」
「ボクもそう思いますよ。でもいくらご主人の肋を折っても、こちらの願いを聞いてくれないんですもん。しかし古典的な方法ですが、息子さんの肋を折られたら、あるいはと思いましてね」
父は、目を逸らそうとしながらも、何度も僕のことを見た。
わけがわからない。
これは、いったい、何の茶番だろう。
僕の意識はいつの間にか、ここから乖離された。
Sは僕の方を見た。
「お前もさあ、そんなアホみたいな面してないで、泣いたりとかしてくれないかな」
一瞬、Sの右手が首筋から離れたかと思うと、次の瞬間、僕の腹に呼吸が止まるほどの衝撃。
僕がかがむようにして咳き込んでいると、恐ろしい速さでSの膝が顔に近づいてくるのが見えた。
衝撃。
熱い。
右半身にも衝撃。
僕は壁にぶつかった。
父が何か叫んだ。
けれどすぐに静かになる。
顔を上げるとすぐそばにナイフ。
どうして。
やがて意識は途絶えた。

目を覚ましたのは病院だった。
動かせるのは指先くらいだった。
意識が回復してから、医者や看護婦とは会話をしたけれど、それだけだった。
父や母も、もしかしたら怪我を負わされて、入院しているのかもしれない。
そう思ったけれど、僕は医者にも看護婦にも、何も聞かなかった。
何日か経って、病室を代えられ、ある日の午後、Sがやってきた。
「そんな顔しないでくれよ、まあ、仕方ないけどさ」
それから、Sは語った。
彼はとある企業に頼まれ、うちの土地を買収しようとしていた。僕の両親はそれを拒み続けたが、あの日、結局それを承諾した。
そして、両親は、自殺してしまった。
僕がここで眠っている間に。
「お前、何も知らなかったのか」
Sは冷たく言った。
怒っているようにも聞こえた。
「まあ、お前が目を瞑っている間にも、世界は廻ってるってことだ」
僕はSを睨んだ。
「殺してやる、絶対に」
「いいよ。俺なんかの為に人生を棒に振ってくれるつもりなら、いつでもどうぞ」
Sはそれから、鞄から封筒を取り出し、僕のサイドテーブルに置いた。
「俺はいつも待ってるんだ。俺を殺してくれる奴を」
「どうして……、お前がそんな顔するんだよ」
Sは何も答えず、「またな」と手を振りながら病室から出ていった。
僕は、僕の感情や、Sの表情をどう処理してよいのかわからないまま、ただ天井を見上げた。
とりあえず仕事先に連絡をすべきだ、と頭の中に表示された。
それは逃避だろうか。
僕は自問する。
何が失われたのだろうか。
問いだけが頭の中に響く。
僕は、何をすべきなんだっけ。
僕は、いったい誰なんだっけ。
ああ、世界は、やけに騒がしい。
僕は耳を塞ぎたいけれど。
  1. 2007/10/25(木) 00:02:52|
  2. 連想駄文
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“映像による否応のなさ”

「ムチャよ!あんな場所から第3ゲートをねらうなんて!」

「な、なにィ!?あんな距離から吉田をタッチするだとゥ!」

「ハハハッ!見せたれ、ここでとっておきのスパークやァ!」

「できるわ……!きっと、ハルなら出来る!!」

などなど、観客どもが異様な熱さを見せる中、ほのぼのと繰り広げられるお年寄りのゲートボールを妄想したけど、
どう考えても文章より映像の方がうってつけだと思い、脳内お蔵入り。

ちょっともったいないな、プロ(ゲート)ボーラー・ハル。
ああ、誰かにコントを作ってもらいたい……。
  1. 2007/10/19(金) 13:47:18|
  2. 妄言
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《8.るうる》

下校中、灰色と赤茶色のコンクリートが市松模様に敷き詰められた道があって、僕は赤茶色の部分しか踏んではいけなかった。
お寺の前の首なし地蔵を見てはいけなかったし、トンネルを通るときは呼吸をしてはいけなかった。
下校中、三回までしか後ろを振り返ってはいけなかった。
ときどき僕にはロボットになる日があったから、そういうときは一言も喋ってはいけなかった。
水溜まりがあるときは飛び越えなければならなかった。
それが凍っているときは、踏んで割らなければいけなかった。
一日に殺しても良いトンボの数は三匹まで。
バッタは足をもいだら放してあげなくてはいけない。
蜘蛛の巣は、見つけ次第壊さなくてはいけなかった。
誰かに命令されたのではなく、自分で決めたルール。
僕は従順にそれを守った。

電信柱の影に三秒以上留まってはいけない。
空き缶は出来る限り静かに蹴って帰る。
橋の上を渡るときは耳を塞がなくてはいけない。
駄菓子屋の看板に描かれた女と目を合わせてはいけない。
遅刻しそうなとき、近道の森を通るときには、叫び続けなくてはいけない。
思い切り空が晴れた日は、右足を地面に着けてはいけない。
雪の降る日には、なるべく雪をよけなくてはいけない。
ルールを守ることは楽しかった。
破らなければならないときは、とてもつらかった。

最近は、自分に対してルールを与えることをしない。
そうしなくても他人や世間、社会が守るべきルールを押し付けてくる。
僕はそれを破らないことで精一杯だ。

守ったところで楽しくはない。
破ったところで、つらくはない。

目を閉じて、ゆっくりと深呼吸をする。
退屈でもくだらなくても、それだけであらゆることは乗り越えられる。
生きることは容易い。
容易く生きたところで、たいして面白くはないけれど。
  1. 2007/10/15(月) 02:11:52|
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《6.せかい の へいわ》

世界を守るため、僕は戦った。
敵をなぎ払い、血を流しながら、たった一人で。
でももうすぐ、すべては終わる。
何もかもが救われ、すべての時は報われる。
そうしたら、君に会いに行こう。
僕は煙草を灰皿に押しつけて、再びコントローラを握りしめた。
「ねえ」
突然の声に僕は振り返った。
「ああ……、なんだキミか。ビックリした」
「何を、してんのかな」
「え?ゲーム。見たらわかるでしょう。あ、ていうか勝手にウチに上がるのはいいけど、ノックぐらいしてよ。マナーでしょ」
「今、ゲーム消されたら怒るよね?」
「そりゃ、当たり前じゃん」
「そう……。私、それくらい怒ってるんだ。知ってた?」
彼女の表情を判断するのは得意だ。
確かに、そう、どうやらそれくらい怒っているように観察された。
「ごめんなさい」
「なんで怒っているか、わかってる?」
そう言われれば、心当たりはない。
けれど彼女を怒らせるときなんて大概は無自覚的にだから、対処に困る。
とは言えこのまま黙っていてもどうにもならない。
いっそ予測できる側に爆発させてしまった方が安全かもしれない。
「多分……、多分だけど、僕がまたなにかヘマやらかしたから」
「残念」
彼女は鬼のように微笑んだ。
「残念賞として、殴ってあげようか?」
「遠慮しておきたいです。できれば」
大きな音がした。
彼女が壁に拳をぶつけたためだ。
痛くないだろうか、なんてすぐさま考える自分に少し笑えた。
「落ち着いて。お願いだから。僕のせいで怒らせてるのはわかってるけど、お願いだから落ち着いて」
彼女は目を閉じて、ため息をついた。
そしてしばらく呼吸を整えているようだった。
彼女のこういう優しいところは素直に尊敬する。
僕にはとても真似できない。
「キミさ、卒業する気あるの?」
「あるよ」
「就職する気は、ある?」
「いずれ、すると思う……。お願いだから、泣かないで」
彼女は顔を歪めていた。
なぜだろう。
僕が馬鹿な真似をしていると、彼女は悲しむ。
もともとが馬鹿で愚かな僕だというのに、それは理不尽だと思う。
とても複雑な、理不尽。
「そう思うなら、お願いだからちゃんとしてよ」
僕は抱きしめるかわりに、彼女に煙草を差し出した。
解決策は二つ。
僕が彼女の望む通りちゃんとするか、あるいはもう二度と会わないか。
どちらを選んでもそれは、僕の内的な死を意味する。
いったいどちらが、規模の大きな死だろうか。
彼女の震える喉を見ながら、僕は考えた。
「ごめん、こんな人間で」
「私もごめん。でも君が好きなんだ。腹が立つほど」
僕は、ゲームの電源を落とした。
あと30分もあれば救われる世界は、一瞬で消滅した。
ため息をつく。
うつむいた彼女のまなざしに、しょうがないかと思う。
これが僕の役目で、これが僕の演じるべき行為なのだ。
「とりあえず、ご飯、食べに行こう。何か食べたいものある?」
「パスタ」
「了解」
表面的でも、一時的でも、僕らに平和は訪れた。
けれど叙情的な音楽は鳴らないし、エンドロールは流れない。
僕たちが生きているのは、そんな世界だ。
  1. 2007/10/12(金) 23:54:00|
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《5.風のせい》

理由なんて何もなかった。
強いて言えば、雨が降っていなかったとか、昨晩見た夢の映像が美しかった気がするからとか、その程度しか思いつけない。
でもそんな条件は月に数度は成立していたから、それ自体が大したことじゃないことくらいわかる。
何となく、本当に何となくとしか僕には言いようがないんだけれど、考えてみれば今までの日常だって同じように何となく保たれていたものだったわけだし、そういうものなんだと思う。
僕は自転車でいつも通り会社に向かった。
いつもと違っていたのは、会社の前まで着いてもハンドルを曲げず、ペダルをそのまま漕ぎ続けたというそれだけのことだ。
でもたったそれだけで、僕はもう二度と戻れなくなった。
日常はどんどん後ろに遠ざかって、もう見えなくなってしまった。
不安は、距離と時間が積み重なるほど薄れていった。
そうして僕はいつの間にか旅を始めていたのだった。
スーツとネクタイという出で立ちで、鞄にはもう意味のない書類だけを詰めたまま。
帰り道はない。
帰る家はない。
帰れる僕は、もういない。
けれど帰りを待つ人も僕には最初からいなかったから、これでいいのだと思った。


見知った街を通り過ぎて、しばらく何もない道を走った。
山の静けさと車輪の回る音、そして自分の呼吸。
風が心地よい。
日差しは暖かで、今日は何とも旅にうってつけの日だと改めて感じた。
しかし日が頭上にある間は気分が良いだけだったものの、夕方近くなるとさすがに多少の不安も芽吹き始めた。
とりあえず空腹を満たして、あとはどこかで眠って夜をやり過ごそう。
日も完全に落ちた頃、人家もまばらに現れ始め、僕はようやく見つけたひなびた食堂の暖簾を潜った。
狭い店内はお世辞にも綺麗とは言えず、左手の座敷に老人が横になっている他は、カウンターの中にさえ誰もいなかった。
この老人がここの主人ということなら起こしても良いのだろうか。
一番良いのは、このまま何も見なかったことにして、ここから出て行くことに違いないけれど。
さて、どうしたものだろう。
「ん?あれ、お客さん?」
引き返そうと戸に手をかけるとカウンターの方から女の声がした。
振り返ると、前掛けをした背の高い女が立っていた。
歳は僕とあまり変わらないだろう、目の細い愛想が良さそうな顔を少し傾けていた。
「声かけてもらわなくちゃ、わからないよ。危うく儲け損なうとこだった。さ、座って」
僕は言われるがままにカウンターに腰掛けた。
腹が減ってはいたけれど、特に何を食べたいという事はなかったので、日替わり定食を彼女に頼んだ。
それから、この辺に宿泊施設か野宿できそうな場所はないか、恥ずかしかったけれど訊ねてみた。
「うーん、この辺は何もないからねえ。野宿は、虫が相当好きじゃないなら、勧められないし」
ご飯を僕に差し出しながら彼女は言った。
「街に出ないとどうしようもないけど。お兄さん、出張か何か?」
僕は首を振って、旅に出ているのだと説明した。
そんな格好で、と彼女は一頻り笑った後じろりと僕を睨んだ。
「お金、あるんだよね」
心外だったので財布を出して証明しようと鞄を漁ると、彼女は再び笑った。
それから「真面目なお兄さんだねえ」とからかうように言った。
突然、背後で物音がしたので振り返ると、老人がのそりと起きあがっていた。
彼は僕に一切目をやらず、カウンターの中に入っていくと、そのまま奥に消えてしまった。
「ごめん、私の祖父なんだけど、いわゆる愛想のない頑固爺なんだ」
この店は元々彼と、彼の奥さんのものなのだ、と彼女は説明してくれた。
「でも三年前に祖母が亡くなって、私それまでふらふらしてたから、親の命令でここと祖父の世話を押しつけられちゃったってわけ」
まあまあ楽しいけどね、と彼女はまた笑った。
僕はこの手の笑顔を見るのが苦手だったので、目を逸らしたかった。
どうしようもなく、痛みを感じてしまうから。
「あーあ、お兄さんがずっと前から旅をしてた人だったら良かったのにね。旅の話を聞く若女将、なんて一回やってみたいシチュエーションだもん」
僕は肩をすくめた。
「でも今日旅を始めたばかりの旅人には、そんな役目はハードすぎるでしょ?まあ、いいや」
それならいつか、またここに来よう。
もし僕が三流の俳優か何かなら、はにかみながらそんな台詞を吐くけれど、僕はどうしたって僕だし、それは仕方ない。
その日の日替わり定食は鯖の味噌煮とライスとサラダ、それから味噌汁。
とてもおいしかった。
でも、それだけ。
きっとここに来ることも、彼女に再び会うこともないだろう。
会計を済ませて、僕は食堂を後にした。
彼女から屋根付きのバス停の場所を教えてもらったので、僕はそこで一晩明かすことにした。
ベンチの上は寝心地が悪く、多少辟易した。
やがて日は昇りはじめ、あまり眠れなかったけれど、僕は走り始めることにした。
時刻はまだ早く、誰も目覚めていない世界はとても静かだったけれど、それでも空は自転車を漕ぐには十分な明るさで輝いていた。
  1. 2007/10/11(木) 18:33:20|
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《4.気球に乗って》

確かに、最初にバカなことを言い出したのは私自身だ。
でもあのときは頭がアルコールにやられていたし、その場のノリで言ってみただけのいわゆる冗談のつもりだったんだ。
「大丈夫?」
「まあ、最悪の一歩手前」
私は顔を上げて答えた。
彼女は心配そうに私を見つめ続けていた。
「ごめんね」
今にも泣きそうな顔をされても、どうしようもない。
悪いと思っているなら、今すぐこれを降ろしてもらいたいけれど、そんなことが不可能なことくらい理解できる。
何せここは、海の上なのだから。
「いいって、もう」
「でも」
「それより、陸地に近づけているのかが問題でしょ」
私は立ち上がり、周囲を見渡した。
「陸地は、あっちだよ」
彼女はおずおずと私の後ろを指さした。
「ちょっと……、遠ざかってない」
「ごめん……」
「あー、だからいいって。別にアンタのせいじゃない」
私は再び腰を下ろした。
二日酔いのせいか気圧の問題か、あるいはこの悪夢のような間の抜けた危機的状況のおかげか、とても気分が悪かった。
「あ、見て!あそこに、ほら、船が!」
「まあ…、あの船が空を飛べるなら、助けにきてくれるかもね」
彼女は反射的に私を睨んだ。
「じゃあ、この気球に穴でも開けて、何とか下に降りて助けてもらう?」
「そんな、無理だよ。助けてもらう前に、私たち死んじゃうよ」
「状態としては今と変わらないね」
もう、だんだんと何もかもがどうだって良くなっていくのを感じた。
冷めていく。
慌てふためいて、死にたくないと泣き叫びながら死ぬよりは、諦めて静かにしている方がずっと自分には合っている。
そもそも自分は、あまり生きるのに適していなかったんだ。
だからこうして、仕方なく、否応なく、馬鹿馬鹿しく終われることは幸運かもしれない。
「ねえ。あのさ」
彼女の声が、少し落ち着いているように聞こえた。
「なに?」
「もし、どうしようもなく、お腹が空いたら……。私のこと食べてもいいよ」
「はあ?」
「真面目な話だよ。冗談じゃなくて」
それはそうなんだろう。
けれど、じゃあこの何もない空の上で、どうやって調理すればよいと思っているのだろう。
きっとそういうことまでは、頭が回らないのだろう。
つくづくダメ人間だなあ、と思う。
私と同じくらい、ダメなヤツ。
「ねえ」
「なに?」
「空が、とても綺麗だね。雲も眺めてて、なんか楽しい」
彼女は不思議そうに私の顔を見た。
「せっかくの卒業旅行なんだ。目一杯満喫しようじゃないか」
「うん……」
「私らに、ここで出来る事なんて、精々そのくらいだよ」
「うん…」
彼女がようやく諦めたように微笑んだのを見て、私はほんの少しだけ嬉しいと感じた。
そして空は、ただただ青かった。
  1. 2007/10/10(水) 15:44:31|
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《3.楕円形の星の上》

地球は丸くなんてないし、全体的に綺麗ではない。
だから、黒髪でもなければ礼儀正しいわけでもない日本人のこの子を僕が好きだということだって、それほどおかしな事じゃない。
「夕飯、何時頃になりそう?」
「待って、あと20分くらいで完成するから」
男の僕が夕飯の準備をしていることも、今さっき彼女が軽く舌打ちをしたように見えたことでさえ、どうということはない。
僕は料理が好きでも嫌いでもない。しかし彼女は嫌いだと言う。だから、僕が引き受ける。それくらいの愛情はあるからね。
僕は煮物を味見した。多少濃くなってしまったけれど、悪くはない。こんなものだろう、と思う。
妥協と諦念を働かすことの出来るものについては、最大限活用する。それはとても大事なことだ、と死んだ親父も言っていた。
つまり、そういうことなのだ。


「ねえ」
夕飯を食べ終えて、煙草を吹かしながら彼女は訊いてきた。
「アタシといて、楽しい?」
楽しいときも、楽しくないときもある。けれどそんな本当のことを言うほど、僕は誠実でも素直でもない。度胸もないし、嫌われたくもない。
「うん」
「そうなんだ、良かったね」
こういうとき、僕はどうしたらよいのかわからない。怒らせたい、あるいは怒りたいのなら協力すべきなのかもしれないけれど、そんなことをしても楽しくはない。
そもそも僕は、感情を向けられるのが得意じゃない。感情をコントロールするのも、もしくは感情的に振る舞ってみせるのも苦手だ。
だから、仕方ないので、こういうときは笑ってしまう。
「アタシは、楽しくない。何もかもうんざりだ。キミのせいではないけどね。でも、みんな死んでしまえばいいと思う」
そういうときは、自分一人で死ぬのが一番だ、とは思うけれど当然そんなことは言えない。この子のことが僕は好きだし、一緒にいたいからね。
でも、どうなんだろう。
それは、羽と尻尾をもいだトンボを大事に大事に延命するような、とても残酷なことなのかもしれない。
まあ、でも、それでもいいかと思う。
仕方がないのだ。
こんな星に生まれた、こんな僕らなんだから。
「そういえば、煮物。しょっぱすぎだった」
「うん。ごめん」
「まあ、いいけど」
そう。まあ、こんなものでもいいのだ、きっと。きっと。きっと。
  1. 2007/10/09(火) 03:50:24|
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【必要条件】

人間関係において必要なのは、理解よりもむしろ許容なのだなあ、と実感した一日でした。
  1. 2007/10/08(月) 23:47:48|
  2. 日常
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《2.魔法のひろば》

赤い包装紙を破ると、白い箱が現れた。
白い箱を開けると、くしゃくしゃの紙の中に小さな木箱が埋もれていた。
木箱の横には銀色のねじ巻きが突き刺さっていて、僕は早速それを回してみた。
しばらく回して、流れ始めるであろうメロディを想像しながら、僕は手を離した。
けれど、箱からは何の音もせず、ねじ巻きも逆回転を見せる様子はなかった。
「壊れてるよ、これ。不良品だよ」
僕は叔父さんを見ながら言った。
叔父さんはいつも通りのにやけた顔で、肩をすくめた。
「貸してごらん」
言われるがままに木箱を手渡すと、叔父さんは両手で木箱を包んで、そしてまるでお祈りをするようにその手を頭の上に掲げた。
「10数えてごらん。できるだろう?」
僕は頷いて、10数えて見せた。
「はは、キミの数列には、7が二つあるんだね」
僕は恥ずかしくなってうつむいた。そうしていると叔父さんの両手が僕の目の前に出された。
「大丈夫。魔法は成功したよ」
叔父さんがそっと手を開くと、木箱から、メロディは流れ出した。
たくさんの音が、弾けるように踊るみたいで、とても綺麗だった。
「ねえ」
僕が質問をしようとすると、叔父さんはゆっくり首を振った。
もう少し待て、という意味だとわかったので、僕も黙ってメロディを聴き続けた。
やがて音はゆっくりになっていって、そして止まってしまった。
「ねえ、なんて曲」
僕は小さな声で訊ねた。
「魔法のひろば」
叔父さんも囁くように答えて、そして木箱を僕に差し出した。
「ありがとう」
僕は嬉しくなって何度も何度もねじ巻きを回した。
けれどどうしたってメロディは鳴らない。叔父さんの真似をして手で包んで上に掲げてもみたけれど、それでも駄目だった。
「鳴らない。なんで?」
「なぜだと思う?」
僕は首を振った。
「それは魔法が使えないからだよ」
「どうしたら、使えるの?」
「疑って、疑って、いつか魔法なんてないって理解したら、きっと使える」
叔父さんの言葉はだいたいいつも意味が分からないけれど、僕は頷いた。
それはきっと、僕が彼に、魔法をかけられていたせいだろう。
それはとても綺麗で、とても尊い魔法だった。
どうして、とけてしまったのだろう。
ときどき木箱を眺めながら、僕は考える。
そしていたずらにねじ巻きを回しては、魔法のひろばに広がる美しい電子音を再生させるのだった。
  1. 2007/10/07(日) 22:41:26|
  2. 連想駄文
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【隠れキリシタン定食】

本日、バイトで雑誌を装備(バーコードを貼ったり補強をしたり)していたら、とある雑誌が特集に洋食屋を取り上げているのを見つけたわけでして。
時刻は丁度お昼時、何となくパラパラと眺めてみると、美味しそうなハンバーグやらオムライスやらの写真が載っていて、多少恨めしい気持ちにもなるわけです。
で、その特集の写真の中に、どうしてもツッコまずにはいられないものを見つけまして、ついつい隣に座っていた同僚に言ってしまいました。
「この、洋食特集だけどさ、確かに美味そうだ。だけどこれ、生姜焼きって何だよ。生姜焼きは洋食じゃないだろうが」


いや、もう今となってはわかっているわけです。間違っているのは自分だと。
同僚は一瞬戸惑いながら呆れた声で言いました。
「生姜焼きは、洋食だよ」
「は?いやいや、嘘だろ?」
「いや、ほんとに。フライパン使うし、洋食」
この同僚は元・板前見習いなので、きっとそれは正しいのでしょう。
でも、それでも僕は言いたい。
生姜焼きは洋食じゃない!そんなことは認められない!
と。


生姜焼きなんて所詮、オッサンの馴染みの食堂の定番メニューじゃないですか。
あるいは、弁当に入っていたら嬉しいけど匂いが……、的なことで思春期の少年を悩ませる程度の存在ですよ。
だいたい、洋食を自称するつもりなら、なぜ横文字を使わない!
オムライス!
ハンバーグ!
エビフライ!
コンソメスープ!
ドリア!
ビーフストロガノフ!
生姜焼き!?
ふざけるなッ!!
幼少時代を貧しく過ごした僕のような人間に、ケンカを売っているとしか思えないわけですよ。
じゃあ何ですか。
母親に「今日の夕飯は洋食だよ」と言われて、出されたメニューが生姜焼きだった場合、喜び勇んでモリモリ食えと、そういうことですかチクショウ。
そんなことをされたら、僕だったら絶対三日ぐらいは天岩戸よろしく自室に引きこもってやりますよ!


そんなこと言っても、洋食は洋食。調理法が違うんだからと宣うのであれば、想像してみてもらいたいわけです。
初めての海外旅行、ヨーロッパへと旅立って、拙い英語で道行く人に「この辺で何か美味しいものが食べられる店がありませんか」と訪ねたところ、紹介された店が生姜焼き専門店だったとしたら、どうなんですか。
「コイツが本場の生姜焼きか。ヘヘ、やっぱ本物の味は違うぜ!」みたいなことを言うのだとしたら、旅行中ずっと胸焼けに悩まされてしまえという話ですよ。ついでにカイバラユウザンに呪われろ!


つまり、田舎者の僕としては、洋食には常にお高いところで優雅にしていてもらいたいわけです。
いつまでもカタカナ英語で気取っていてほしいのです。
ああ、もしもこの世に美食倶楽部みたいな怪しい集団が存在するのであれば、どうか、どうか、生姜焼きを洋食界から除名してください。
本当に、切に祈ります。
  1. 2007/10/07(日) 00:17:59|
  2. 日常
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《1.可哀想な赤》

彼のこめかみに手を当てていると、まだ暖かい体温。
けれど次々と溢れてくる血が、見るまでもない真っ赤な熱さで、もう何もかも手遅れなのだと寂しく笑っているような。
でもしばらくは、こうしているしかない。
それが、私の役目だからだ。

何も、今日死ぬことはなかったのではないか。
明日、明日は素晴らしい何かがあったかもしれないのに。
けれど、いつだったら彼に、死んでも良いと言えただろう。
そう自問すれば、今日だからいけないという理由は何もない。
わかっている。
そしてもう、何もかもが手遅れだ。

彼の血を吸い込んで、きっと来週には捨ててしまわれる、汚れたカーペットが可哀想だと感じた。
彼のこのシャツもズボンも下着も、みんな可哀想だ。
彼の中の、生まれたばかりの細胞も可哀想。
そして何より、右手に握られたままの黒い拳銃。
悲しいくらい、黒い拳銃。

もうすっかり彼の体も冷たくなってしまった。
けれど私は、どうしたら彼に当てたままの手を動かせるのかわからない。
血もだんだんと固まってしまっているというのに。
右手なら、簡単に動かせるのに。
拳銃が床に落ちた。
救急車を呼ぶべきだろうか、なんて思う。
明日は晴れるだろうか。
私はまだ、自分の服を洗わなくちゃいけない。
それは可哀想なことだろうか。
私は自問した。
別に、全然。
私はそう思った。

血の色は、もう赤くなかった。
彼はもう、どこにもいなくなった。
た、た、た、た。
た。
  1. 2007/10/06(土) 23:17:54|
  2. 連想駄文
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“HUNTER×HUNTER新刊発売記念適当企画”

・勝手にQ&A
Q.王は、世界征服的なことを達成した暁には、どうしたいと考えているのでしょうか?
A.何も考えていません

Q.え、じゃあ、なぜ王は世界征服的なことをしようとしているのですか?
A.ただなんとなく、それが格好良いと思ったからです。

Q.は?
A.そもそも王は中二病患者です。それは健康な男子なら誰でも通る不健全な道です。今はそっとしておいてあげてください。



Q.強いヤツと戦いたがりなヒソカが出てこないのは、どうしてですか?
A.いずれ出る予定です。

Q.いったいどんなふうに登場するのでしょう。教えてください。
A.当然敵としてゴンたちの前に立ちはだかります。

Q.えっ?ヒソカは王と戦おうとするんじゃないんですか?
A.ピトーに操られているのですから、仕方ありません。

Q.……やられちゃったの?
A.そっとしておいてあげてください。



Q.ゴンの父親は、優秀なハンターなのだから勿論駆け付けてくるんですよね?
A.無論です。……ただし、ピトーの人形付きですが。ちなみにキルアの父親も、ついでに爺と兄二人も人形付きで参戦します。

Q.いやいやいや、何ですか、その駄目っぷり。意味が分かりません。
A.冨樫先生の心も、それで一度折られました。そりゃあ休載したくもなるわな、と。



Q.最後にこれだけは確実に知っておきたいのですが、もう長期休載なんてことはありませんよね?
A.

Q.え、いや、答えてください。
A.

Q.おい、答えろよ!頼むよ!
A.


ほんと、頼みますよ、冨樫先生。


“追記 10/6”
今日、ジャンプに『十週連続掲載決定』みたいなことが高らかと書いてあるのを目にして、つい笑ってしまいました。
お前は不登校児童か、と。
「あんまり皆が言うから、明日と明後日は学校行くけど、それだけだからね」
みたいな宣言に読めてしまいまして、ええ。
  1. 2007/10/05(金) 23:42:29|
  2. 妄言
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【ひょっとすると、ひょっとするのだった】

つまりAならばAであるという同一律であり、論理的に真ではあるけどそれで?的な日常をアバウトにやっつけていく、そんな毎日ですよ。
しかしこの同一律を出発点として全知識学は書かれた、のでしたっけ?
もはや何も覚えていませんが、それで全く何の支障もないし、いっか。

とか書きながら、どうせ数分後にコソコソ調べものをするに決まってるんですけどね。
それは置いておくとして、本日はAmazonに憤慨しました。
アカウントサービスにおいての配送予定日などまるで当てにしてはならない、というのが例えユーザー間での常識であったとしても、Amazon側までもが『そんなの当然じゃないですか』的な対応をするのは許されないと思うのですが。

そういえばAmazonへのメール問い合わせって、担当者名とか一切明かさないんですね。
これって、よくわからないんですが、オンラインでは当たり前のことなんでしょうか。
せめてハンネでも良いから名乗ってくれたら、ほんのわずかだけど印象が違う気がするんですけど。
例え一人が複数のハンネ、あるいは複数人がひとつのハンネを使用したとしても、気分的に。

それに、Amazonとしても直接的に最悪と思われるより、Amazonの◯◯は最悪というように間接的に思わせといた方が良いと思うのだけれど。
どうなんだろう、そこのとこ。
  1. 2007/10/05(金) 21:52:52|
  2. 日常
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【心的風邪】

ここ数日ばかり、他人の鬱が感染してしまいコホコホしてました。
心的病って、身体的なものと違って免疫がある(同様の経験を持っている)場合、よりうつりやすかったりするのかな、と思ったり。
どうなんだろ、実際のところ。

まあそんなわけで、だらだらぐだぐだとしてました。
寝床で延々とスーパーマリオ3をプレイしたり、伊集院光の新刊本をぼんやり読んだり。
あ、スーマリ3滅茶苦茶面白いですね。良質のショートショートを読む感覚で非常に楽しめました。
いや、プレイ中は大抵上手くいかずイライラしてるんですけど、スーマリ3の場合一つのステージに越えるべき山場が一つくらいしかないので、『出来た!!』と思った直後に即死ということがあまりなくて、こまめにストレスが発散されて良い感じです。
……えーと、何が言いたいんだ、自分。まあいいや。


ところで数日ぶりに自分のブログを見たら、友達申請的なものが追加されているのに気付いたんですけど、何でしょうかこれは。
勝手に変なものを追加されるのはただでさえ気持ち悪いのに、なんだこの友達になるって。吐き気がするわボケ、と思うものの面倒くさいし放置でいいや。
はあ、チャカポコチャカポコ(特に意味はない)。
  1. 2007/10/04(木) 04:08:12|
  2. 日常
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