シッタカブリオーネ

虚言・妄言・支離滅裂

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はじめに、と登校時間

 書くことによって事実は形を歪ませられる。しかし、書こうとすることにより思い出す何かもあるのではないか。そんな一種の気の迷い、あるいは逃避、言い訳がこんなことを書き始めようと思い立った動機だ。こうしてわざわざ動機から書き始めること自体、意志の弱さの表出だろう。しかし、客観的に見てそんな虚弱な意志にさえ、縋らなければならないのがありのままの自分の現在であるから、仕方がない。
 順序は唐突に、まったく時系列に従うことなく、思い出した事柄から書いていこう。大事なことは、誇張しないこと、縮小しないこと。なるべく、できるだけ、丁寧に。あの頃の自分に、失礼がない程度に。
 以上、前書き終わり。

 僕の通った中学は、一学年2クラスの小さな学校だった。大きめの池に挟まれた道をしばらく行くと、なかなか急な上り坂があって、うねるその坂の中程に差し掛かると丁度あの石柱の頭が見えてくる。登校時はほとんどが上り坂で、最後のその上り坂の木陰は少しだけ慰めになる。でも、確か僕は大概そこを下を向いて歩いていた。
 特別な行事がない限り、登校するときポジティブな感情でいることはあまりなかったように思う。それに、僕はいつも遅刻しないギリギリの時間に学校へ行っていたから、最後の坂であの嫌な野球部の先輩たちに出会すことも少なくなかった。あの人たちに直接的に何かをされたことはなかった。けれど、彼らは少なくとも悪意を含んだ目で僕を見ていた。その理由は僕の兄と彼らとの確執にあったようだけど、詳しいことは今もわからない。ただ、僕には僕自身に理由がないのに確実に向けられる悪意、しかもそれが自分たちの学年にまで強い影響力を持つ(と思い込んでいた)人たちから発せられることに恐怖していた。
 あの悪意は、ちょうど幽霊のものと似ている。存在しない幽霊に割り当てられていた恐怖という感情を、彼らが実態を伴って受け持ったわけだ。それに対して僕が行ったことは遠ざかること、近づかないこと、軽蔑すること。
 今にして思えば、ただの独り相撲だ。おそらく実際彼らが僕に向けていた悪意なんてほとんどなかったに違いない。接点なんて無いに等しかったのだから。
 それでもあの最後の坂道で、彼らと出会うことは本当に最悪だった。彼らはいつも集団でいて、ゆっくり笑いながら前を歩いている。僕は近づかないように、けれど不自然にならないようなペースで気を使って歩いていく。いつこちらに向かってくるのかわからない悪意に警戒しながら、けれどそのことも悟られないように下を向いて歩きながら。
 そして、いつ何時、彼らの悪意がこちらに向かってきてもいいように、自分の中に彼らに対する悪意を蓄えて、そんなふうにしていつも学校に通っていたように思う。
 彼らのこともあり、また他のこともあり、未だに野球も野球部も、僕は好きじゃない。
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  1. 2009/08/27(木) 01:27:05|
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