シッタカブリオーネ

虚言・妄言・支離滅裂

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告

なまめかしい・アルコールランプ

夏と言えば怪談、都市伝説。
お盆も過ぎて蝉の声も少し静かになった今日この頃ですが、まだまだ暑い日は続いています。
そんなわけでここは一つ、怪談話でも書いてみようと思います。
たいした話ではありませんが、読んでいただければこれ幸い。
さて、それでは始めましょうか。


某市立中学校に通うT君は、夏休みにも関わらず学校へと向かって自転車を漕いでいました。
しかし彼は運動部などに所属していませんでしたし、その日は補習もありませんでした。
もともとインドア派、有り体に言えば引きこもり気味のT君です。
その彼がわざわざ汗を流しながら学校へ向かうのには、当然理由がありました。

T君は学校に到着すると、まっすぐに化学実験室を目指しました。
実験室にはクラスメートのO君が一人、窓の方に立っていました。
「ごめんね。部員でもないのに、わざわざ来てもらって」
「いいよ、俺が手伝いたいってお願いしたんだから」
O君は化学部員で、実験室で飼っているモルモットの世話をしなくてはならなかったのです。
ケージを掃除したりするのには確かに誰かが手伝ってくれると楽なのですが、けして一人で出来ないことではありません。
二人は友人と呼べるほどの仲ではありませんでしたので、わざわざ前日にメールを寄越してまで手伝おうとするT君の親切が、O君にはとても不可解でした。

程なくして仕事を終えた彼らは、実験室を出て帰ろうとしていました。
すると突然、T君は言いました。
「あ、いけね。実験室にちょっと忘れ物をしてきた」
しかしもともとT君は手ぶら同然に見えましたし、彼が私物を実験室で取り出していた記憶がO君にはありません。
「一緒に行く?」
何か怪しいと感じたO君でしたが、彼は気が弱いのでこんな提案が精々でした。
「いや、いい」
「でも…」
「大丈夫だから、ちょっと待ってて」
手伝ってもらった手前、それ以上何も言えなかったO君は、強引に走り去るT君の後ろ姿をぼんやりと見つめていました。

やがてT君が戻ってきて、再び二人は歩き始めました。
ところが、玄関の近くに差し掛かったときです。
O君がさり気なく、さっきはいったい何を取りに行ったのかを訊こうか訊くまいか迷っていると、T君が「あっ」とわざとらしく言いました。
「そういえば、俺、ちょっと教室に用事があったんだ。ごめんO君、悪いけど先に帰ってて」
O君は嘘だろうと感じていましたが、同時にもう関わらない方がいいなと思ったので、T君に別れを告げて帰っていきました。


さて、このあからさまに怪しいT君の目的とはいったい何なのでしょうか。
時間を少し遡り、これは前々日、T君が友人K君宅でウダウダしていた時のことです。
「そういえばお前、“なまめかしいアルコールランプ”の話、知ってる?」
K君はT君に訊ねました。
T君はそんなものを聞いたことはなかったので、正直にそう答えました。
「うちの学校の化学実験室に、なんかそういうのがあるらしい」
K君の話によると、一見それは普通のアルコールランプなのだが、何でも夜中それに火をつけると、とてもイヤラシイ幻覚を見ることが出来るらしい。
「そんなのあるわけないじゃん」
いくらT君といえど、一応ほんの僅かな常識は持たなくもないので、最初はあまり信じませんでした。
しかし能弁なK君は続けます。
「だけど、ほら、マッチ売りの少女ってあるじゃん。あれも同じように幻覚をマッチの火によって見てる。燃焼とは結局酸化のことで、つまり化学反応だって習ったろ?で、そのとき脳に幻覚を見せる何かも発生してるとすれば、ありえるだろ」
「で、でもさ、今例えばマッチに火をつけてもさ、幻覚なんて見えないじゃん」
「だから、普通は発生しない何かが必要ってことだろ。燃える物によって発生するものも違うんだからさ、つまりマッチ売りの少女のマッチも“なまめかしいアルコールランプ”も元々が特殊な何かってこと。だから、それじゃなくちゃ見られないんだろ」
「そっか…、だけどさ、そのアルコールランプさ、見分けがつかないなら実験で普通に使われてるじゃん」
「だから、夜中だけって言っただろ?マッチ売りの少女も夜中だし、たぶん夜中にしか出ない脳内物質と、その幻覚を見させる何かが反応して、それで幻覚を見るんだろ」
「ふーん。ま、まあ、でもさ実験室って普通夜は鍵がかかってるだろうけどね」
とまあ、T君はこんな具合に信じてしまったわけです。
別に、信じるだけであれば問題ないのですが、T君、最後にK君にだめ押しの入れ知恵をされてしまいました。
「あ、そういえばウチらのクラスのOって化学部らしいんだけど、あいつがさ、明後日実験室に行くらしい。で、便乗して中に入って、ほら実験室って廊下側に小窓があるじゃん。あそこの鍵を開けとけば、入れないことはないよな」


恐ろしいのはバケモノよりも人間だ、というのはよく聞かれることです。
K君の戯言を“イヤラシイ幻覚”という餌につられて信じてしまったT君。
彼は計画実行の翌日、実験室で倒れているところを発見されました。
幸い大事には至りませんでしたが、彼は軽度の一酸化中毒と脱水症状、そして顔面に軽いやけどを負っていたそうです。

話を聞いたK君とO君は大笑いをした後、顔を青ざめたそうです。
現実に考えると、そんなど阿呆が身近にいることは、確かに恐ろしいことかもしれません…。
ちなみに、発見されたときの状況ですが、尋常じゃない量のアルコールランプに囲まれたT君は、意外にも恍惚とした表情を浮かべていたそうな。
合掌……。
スポンサーサイト
  1. 2007/08/21(火) 12:37:04|
  2. 嘘八百並べ立て祭り
  3. | トラックバック:1
  4. | コメント:0
<<【持たない現実】 | ホーム | 賢い・シベリアンハスキー>>

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://3daysbaldness.blog115.fc2.com/tb.php/25-164588b6
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

アルコール化学においてのアルコール (alcohol) とは、炭化水素の水素原子をヒドロキシ基で置き換えた物質の総称である。ベンゼン環の水素原子を置換したものはフェノールと呼ばれ、アルコールと区別される。最初にアルコールとして認識された物質は、エタノールである。こ
  1. 2007/08/28(火) 15:23:09 |
  2. 化学物質いろいろ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。