シッタカブリオーネ

虚言・妄言・支離滅裂

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《1.可哀想な赤》

彼のこめかみに手を当てていると、まだ暖かい体温。
けれど次々と溢れてくる血が、見るまでもない真っ赤な熱さで、もう何もかも手遅れなのだと寂しく笑っているような。
でもしばらくは、こうしているしかない。
それが、私の役目だからだ。

何も、今日死ぬことはなかったのではないか。
明日、明日は素晴らしい何かがあったかもしれないのに。
けれど、いつだったら彼に、死んでも良いと言えただろう。
そう自問すれば、今日だからいけないという理由は何もない。
わかっている。
そしてもう、何もかもが手遅れだ。

彼の血を吸い込んで、きっと来週には捨ててしまわれる、汚れたカーペットが可哀想だと感じた。
彼のこのシャツもズボンも下着も、みんな可哀想だ。
彼の中の、生まれたばかりの細胞も可哀想。
そして何より、右手に握られたままの黒い拳銃。
悲しいくらい、黒い拳銃。

もうすっかり彼の体も冷たくなってしまった。
けれど私は、どうしたら彼に当てたままの手を動かせるのかわからない。
血もだんだんと固まってしまっているというのに。
右手なら、簡単に動かせるのに。
拳銃が床に落ちた。
救急車を呼ぶべきだろうか、なんて思う。
明日は晴れるだろうか。
私はまだ、自分の服を洗わなくちゃいけない。
それは可哀想なことだろうか。
私は自問した。
別に、全然。
私はそう思った。

血の色は、もう赤くなかった。
彼はもう、どこにもいなくなった。
た、た、た、た。
た。
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  1. 2007/10/06(土) 23:17:54|
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