シッタカブリオーネ

虚言・妄言・支離滅裂

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《2.魔法のひろば》

赤い包装紙を破ると、白い箱が現れた。
白い箱を開けると、くしゃくしゃの紙の中に小さな木箱が埋もれていた。
木箱の横には銀色のねじ巻きが突き刺さっていて、僕は早速それを回してみた。
しばらく回して、流れ始めるであろうメロディを想像しながら、僕は手を離した。
けれど、箱からは何の音もせず、ねじ巻きも逆回転を見せる様子はなかった。
「壊れてるよ、これ。不良品だよ」
僕は叔父さんを見ながら言った。
叔父さんはいつも通りのにやけた顔で、肩をすくめた。
「貸してごらん」
言われるがままに木箱を手渡すと、叔父さんは両手で木箱を包んで、そしてまるでお祈りをするようにその手を頭の上に掲げた。
「10数えてごらん。できるだろう?」
僕は頷いて、10数えて見せた。
「はは、キミの数列には、7が二つあるんだね」
僕は恥ずかしくなってうつむいた。そうしていると叔父さんの両手が僕の目の前に出された。
「大丈夫。魔法は成功したよ」
叔父さんがそっと手を開くと、木箱から、メロディは流れ出した。
たくさんの音が、弾けるように踊るみたいで、とても綺麗だった。
「ねえ」
僕が質問をしようとすると、叔父さんはゆっくり首を振った。
もう少し待て、という意味だとわかったので、僕も黙ってメロディを聴き続けた。
やがて音はゆっくりになっていって、そして止まってしまった。
「ねえ、なんて曲」
僕は小さな声で訊ねた。
「魔法のひろば」
叔父さんも囁くように答えて、そして木箱を僕に差し出した。
「ありがとう」
僕は嬉しくなって何度も何度もねじ巻きを回した。
けれどどうしたってメロディは鳴らない。叔父さんの真似をして手で包んで上に掲げてもみたけれど、それでも駄目だった。
「鳴らない。なんで?」
「なぜだと思う?」
僕は首を振った。
「それは魔法が使えないからだよ」
「どうしたら、使えるの?」
「疑って、疑って、いつか魔法なんてないって理解したら、きっと使える」
叔父さんの言葉はだいたいいつも意味が分からないけれど、僕は頷いた。
それはきっと、僕が彼に、魔法をかけられていたせいだろう。
それはとても綺麗で、とても尊い魔法だった。
どうして、とけてしまったのだろう。
ときどき木箱を眺めながら、僕は考える。
そしていたずらにねじ巻きを回しては、魔法のひろばに広がる美しい電子音を再生させるのだった。
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  1. 2007/10/07(日) 22:41:26|
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