シッタカブリオーネ

虚言・妄言・支離滅裂

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《3.楕円形の星の上》

地球は丸くなんてないし、全体的に綺麗ではない。
だから、黒髪でもなければ礼儀正しいわけでもない日本人のこの子を僕が好きだということだって、それほどおかしな事じゃない。
「夕飯、何時頃になりそう?」
「待って、あと20分くらいで完成するから」
男の僕が夕飯の準備をしていることも、今さっき彼女が軽く舌打ちをしたように見えたことでさえ、どうということはない。
僕は料理が好きでも嫌いでもない。しかし彼女は嫌いだと言う。だから、僕が引き受ける。それくらいの愛情はあるからね。
僕は煮物を味見した。多少濃くなってしまったけれど、悪くはない。こんなものだろう、と思う。
妥協と諦念を働かすことの出来るものについては、最大限活用する。それはとても大事なことだ、と死んだ親父も言っていた。
つまり、そういうことなのだ。


「ねえ」
夕飯を食べ終えて、煙草を吹かしながら彼女は訊いてきた。
「アタシといて、楽しい?」
楽しいときも、楽しくないときもある。けれどそんな本当のことを言うほど、僕は誠実でも素直でもない。度胸もないし、嫌われたくもない。
「うん」
「そうなんだ、良かったね」
こういうとき、僕はどうしたらよいのかわからない。怒らせたい、あるいは怒りたいのなら協力すべきなのかもしれないけれど、そんなことをしても楽しくはない。
そもそも僕は、感情を向けられるのが得意じゃない。感情をコントロールするのも、もしくは感情的に振る舞ってみせるのも苦手だ。
だから、仕方ないので、こういうときは笑ってしまう。
「アタシは、楽しくない。何もかもうんざりだ。キミのせいではないけどね。でも、みんな死んでしまえばいいと思う」
そういうときは、自分一人で死ぬのが一番だ、とは思うけれど当然そんなことは言えない。この子のことが僕は好きだし、一緒にいたいからね。
でも、どうなんだろう。
それは、羽と尻尾をもいだトンボを大事に大事に延命するような、とても残酷なことなのかもしれない。
まあ、でも、それでもいいかと思う。
仕方がないのだ。
こんな星に生まれた、こんな僕らなんだから。
「そういえば、煮物。しょっぱすぎだった」
「うん。ごめん」
「まあ、いいけど」
そう。まあ、こんなものでもいいのだ、きっと。きっと。きっと。
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  1. 2007/10/09(火) 03:50:24|
  2. 連想駄文
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